Changerion's design transition

遂に決定!
シャンゼリオンの誕生秘話part3


数々のボツネタを発表してきたこのページも、いよいよオーラス。
遂にシャンゼリオン本体の登場だ。もっとも、デザイン自体は前も載せてたし、宇宙船にも出てたから新しくはないですか。
そんなわけで、シャンゼリオンデザイン決定秘話を堪能すべし。


ゴーグルをつけろ!

 まず最大の企画変更は、セガからの(玩具的な)要望として『超光騎士』を出すということになり、その必然として「七変化」の要素が完全に消えたことに因る。要するに「単独ヒーロー」じゃなくなった時点で、逆に主人公のウェイトが上がったわけだ。

 そもそもオレが参加する以前のセガによる玩具イメージ内では、「竜」や「虎」といったどちらかと言うとファンタジー系のモチーフを持ったサポートロボットが変形(いわゆるクロスチェンジ)し、「素体」である主人公にシステムアップされるという構想があった。イメージ的には『グリッドマン』の玩具みたいなものだろう、たぶん。「是が非でも変形合体玩具を出そう。出して欲しい。いや出さねばならない」という思いは、玩具メーカーの要望としてまったくもって正しい。少なくとも玩具サイドの人間ではないオレのデザインを主人公として容認(譲歩か?)した以上、何としても購買層にアピールできる商品を別に確保せねばならんというメーカーの涙ぐましい熟考の結論であったのだろう。なんか随分セガに肩入れしてるね。ちゅーかオレ自身も色々あったんだね。

 それと同時に『シャンバイザー』を変身アイテムとして使用するという、これまた玩具的な要望によって、主人公は「ゴーグル顔」であることが求められた。なにしろオレ自身、どちらかと言うとそういうゴーグルの付いた「無表情な顔」が好きな傾向にあって、本来ならばそれは歓迎されるべき変更なんだが、だからこそ逆にシャンゼに関しては「目」にこだわろうと思っていた部分もあって、正直かなりヘコんだ気もする。

 そんなわけで、『LIGHTNING ROLE』として進めていたデザインに、ゴーグルと多少のメカニック的要素を加えたデザインを起こしてみたものの、本来「透明顔」である部分に「透明なゴーグル」を加えるもどかしさもあって、なかなかコレ!というものにまとまらずにいたのだった。
 そこで急きょ、一番最初に提示したいわゆる『キャプテン・サターン』のデザインに立ち返り、「透明+鏡面=白」1色だったイメージを捨て去って、ゴーグルを含む「黒い」部分を盛り込んだデザインを、企画会議の数時間前に仕上げたのである。これは可動する部分や擦れるおそれのあるパーツに暗色を用いることで「透明素材でなくてもいい」部位を作るという、どちらかと言うと「逃げ」の姿勢をデザイン的に昇華する意味もあった。そして某氏の後押しもあって、会議ではすんなり後者のデザインが採用されたのであった。

changerion
シャンゼリオン決定デザイン

やっぱり変身サイボーグ

 と、そんなこんながあって完成したのが上のデザイン。「きちんとしたカラーのデザイン画」という意味では、シャンゼはこの1枚しか描いていない。もちろん背面のカラー画稿なんてのも存在しない。今にして思うと「それすげえ無茶だぞ、おい」とツッコミたくもなるが、実はシャンゼに関しては身体の各パーツごとの3面図(腕とか脚は4面)を起こしたりしてるので、それどころじゃなかったのだ。もちろん透明である以上、外側だけじゃなく内側のメカニックモールドに関しても全身起こしてるので、作業量は単純に2倍だったし。

 細かいディテールに関しては、「例えばこれが変身サイボーグみたいな1/6フィギュアになったとして、それを手に持った時に気持ちのいい」曲面やエッジを出すことを考慮してる。上腕や太ももの横のエグれた部分は、実は指が収まるためのものなのだ。実際に発売された1/6スケールの『DXシャンゼリオン』で試してみたら、ちっとも効果なくて大ショックだったんだが。
 余談として、この後にオレはタカラから発売された『変身サイボーグ99』をデザインさせていただくという奇跡的な幸運に恵まれ、その中でもこういう凹面構成を用いてるんだが、そちらも見事に効果してない。もうダメじゃん、全然。更に余談ちゅーか暴露してしまうと、このシャンゼのデザインに関しては、82年にREMCO社が発売してたフィギュアシリーズ『CRYSTAR』を若干意識している。ただ、それに関しては82年当時にアメコミ誌で見た広告の記憶があっただけで、決してパクったつもりはないんだが、最近になってようやく手に入れた実際の『CRYSTAR』は、頭の飾りや胸周りの印象やエッジの刻まれた手足など、どこをとってもシャンゼに酷似してたのだった。どちらも透明素材を用いたヒーローだから、似ちゃってもしょうがないじゃない。ちゅーか80年代玩具万歳。

 実際のスーツ制作の過程において変更された部分も若干あるんだが、とりあえず粘土原型の段階まではすべて現場で指示(ちゅーか感動しつつ見学)してるので、最終的に上がったスーツがすなわち完成形ということになる。造形的な制約から、頭部と肩部分にある羽状パーツの内側に入るはずだったアンテナ状の突起が削除されたのが正直言って悲しかったが、まぁしょうがない。小さい方のシャンゼ玩具の色に合わせて、太ももがかなり暗い印象になったのもちょっと残念だが、アクション用スーツ(太もも部分がウレタンで造形されている。ちなみにこのスーツの透明部分はすべて軟質塩ビ製らしい。すげえ。)との連携を考えると、これはちっとも間違った選択じゃないと後になって思った。バラしちゃうとシャンゼの特徴的なあの唇は「ちょっとジャッジ・ドレッドしちゃいました」という原型担当氏のアレンジである。通常のスライよりすげえクチビルになってるわけですな(笑)。

 そんなわけで、長いことわたって書いて来た変遷もこれにて終了。いや、本当に玩具デザインの方からしてみれば、変遷もへったくれもない程度のものだと思うんですけども。ええ。

changerion-CG


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