Changerion's design transition

遂に語られる
シャンゼリオンの誕生秘話part1


そんなわけで、シャンゼリオン本人が知られている姿になるまでには紆余曲折の変遷があったりもするんだが(それでもバンダイヒーローに比べれば全然マシです本当に)、ここはそんな初期デザインなんかを見つつ、当時の状況を振り返ったり苦虫を噛み潰したり赤面したりしようと思ってます。
[その後に分かった新事実なども含めて、インタビュー形式になってたのを読みやすくするために普通の文章に改めたので、テキスト部分はフルバージョンアップしました。(2001/5/30)]


発端は勘違いから・・・

 まず最初に、話はシャンゼのオンエア開始から1年ほどさかのぼることになる。これはシノハラ自身が8年勤めたクラウドから独立してフリーランスになった時期と、ほぼ同じだと思っていただいていい。実は当時のオレは「これからはデザインでなく、CGをメインにやって行こう」と思っていたらしく、「らしい」と書いたのはどうにもその決心は既に今となっては思い返すことが出来ないくらい薄らいでしまっているからなんだが、とにかくそう思っていたオレは、その頃やたらとCG関係の人に会ったりして、業種変更にやっきになっていた。

 そんな中、某CG製作会社に出向いたオレは、とある作品のデモビデオを見せられる。実写素材にCGキャラクターを合成した絵作りがメインのそれは、テレビ番組として製作するためのパイロット版で、セガをはじめとする企業に向けてプレゼンを行っている最中とのことだった。ちなみになんか書いてて伏せ字にするのももうアレかと思うんで書いてしまうが、この時見たのは『SPEED FIGHTER』のデモである。この後も色んなところでこの作品とニアミスするのだが、それはシャンゼとはあんまし関係ない話なので割愛しとこう。竹谷隆之さんのデザイン(正確にはリファイン)した主人公『アクセル』は、もう股間が濡れちゃうぐらいカッコ良かったので、できれば何らかのカタチで参加したいなぁと思っていた。

 それから数カ月後のこと。今度は東映から連絡があって、「セガと組んだ新しい枠の実写テレビ作品に参加してほしい」という内容だった。もちろんオレの頭に去来したのは件の『SPEED FIGHTER』のことで、勝手に「セガへのプレゼンが通ってアレをやるのだ」と思い込んでしまったオレは「CGとか使うやつですよね?」と、さもワケ知り顔で訊いたりしたのだった。最近知ったのだが、この段階でシャンゼの原型となる企画自体は既に一度完成していて、その時にデザインを担当していたのは、なんと後に『破壊魔定光』で再び巡り会う大畑晃一さんであった。大畑さんとは『地球戦隊ファイブマン』で旧知なので、企画の経緯をワケ知り顔でいても不思議はなかったのである。

 そんなわけで、「色んな経緯があって、結局は実写ヒーローになったのか」などと再び勝手に想像しちゃったオレが、最初の打ち合わせの際に持参したデザインがこれなのだ。

Changerion's first design

「キャプテン・サターン」と呼称(オレ希望)

 これが最初の絵というにしては、既にシャンゼの原型としてほぼ完成されちゃってもいるが、結論から言うと「ここに戻って来た」というのが正解である。まぁそれについてはこれから語るとして、最初の立脚点がどうしてこれか、ということから説明しとこう。

 そもそもそれを語るには、更に時間を遡ることになる。かつて東映が特撮モノのオリジナルビデオ企画を色々立ち上げていた時期があって、それは『真・仮面ライダー序章』や『女バトルコップ』として作品化されているんだが、その中でも一際異彩を放つ『大予言/復活の巨人』というのがある。これは最初『スペクトロン』という巨大ロボットもの企画として、真ライダーなんかよりもずっと先行して進んでいたもので、このラインナップを見てお分かりの通り、これらのすべてにはクラウドの代表でもある雨宮慶太師匠が関わっており、企画時には当然のようにオレも参加してるんだが、この『スペクトロン』では主人公のアイデア出しの段階でオレが提示した「透明な装甲を持つロボット」(要するに「巨大な変身サイボーグ」)の案が生かされ、最終的に雨宮カントクの筆によるデザインで透明素材やホログラフ印刷を応用した試作が作られたりしていたのだった。
 こちらの企画も色々変遷を経て最終的にはとんでもないものになってしまったが(爆)、この「透明モノはいずれやりたい」という思いは、この企画に関わったすべての人の胸に刻まれたのである。(余談だが、スペクトロンの頭部デザインは後にちょっとだけ意匠を変えて『鳥人戦隊ジェットマン』の『ベロニカ』としてカントク自身の手によって
雪辱されている。)

 そんな思いが通じたのか、はたまた吉川進Pにも残っていたのか、「新ヒーローには透明素材を用いる」というのが最初のアイデアとして存在していた。その透明のイメージにCDの質感を加え、更にヤマっ気として当時セガが発売したばかりのゲーム機『サターン』の要素を加えたのがこの絵なのである。この時点で新ヒーローは『マスカレイザー』というカッチョいい呼称が付いていたが、オレだけはこれを『キャプテン・サターン』と呼んでいた。もう絶対にセガの1社提供になると思い込んでいたので、いわゆる『ナショナルキッド』みたいなノリにしたかったのである。

 横顔のイメージからちょっと想像しにくいが、この頭は形状的にはDIOの『ザ・ワールド』ちゅーか円柱状のもので、つまり頭頂部にも「天使の輪」みたいにCDが収まっていると想定している。CD、あるいはCD-ROMを「夢のメディア」みたいに啓蒙してやろうという意気込みもあった。筋肉質なイメージは、透明素材を使用する2重構造から細身のシルエットは不可能という判断からチョイスしたもので、もちろん『スポーン』に牽引されたアメコミブームとUSアクションフィギュアのイメージも頭に無かったとは言い切れないちゅーか全然意識しまくってました。はい。

 とまぁここまでが妄想ちゅーか最初のインスピレーションの部分。実際の企画を知ってからのデザインは、ガラリと変化することになるのだった。


書ききれないんで、以下つづく。さて、ガラッとどう変わったのか!?


Regular monster design

Guest monster design

Changerion's secret design

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