ガンダム+ウルトラマン=・・・?
『マスカレイザー』の企画書によると、マスカレイザーは七変化ヒーローであり、要するに一人の主人公が複数のタイプに臨機応変に変身するというレインボーマンみたいなヤツだったのである。役割別に形態を変化させ、それを引っ括めてROLE(ロール)と呼ぶという、実は「変身」から少しバージョンアップしたタームが盛り込まれていたのだった。そして銃を撃つだけの形態や剣技だけの形態なんてのが想定されていて、その中でも「必殺技に特化した形態」としてデザインされたのが、この『LIGHTNING ROLE(オレ仮称)』。つまり戦いの最後の最後にだけ登場し、必殺技を放ってキメるだけの存在という、水戸黄門の印ろうに手足が生えたようなものなのである。
そもそも「透明素材を用いた撮影用スーツを作っても、それでアクションするのは無理」ということは最初から分かっていた。この透明表現というのは、外側のいわゆる外見的な型と、内側の透けて見える型との間に透明素材を流し込み、内側にのみ塗装ないしはメッキ加工することで再現しようとしていた。つまりムクの樹脂の塊を全身に付けるわけで、それが動けるモノになるとは誰も思っていなかったのだ。(実際には 動いちゃったんだが。)
もちろん企画が実現していたら「ほとんど登場しないヒーロー」を主人公として認知させるのには骨を折っただろうと想像するが、それでも「動かなくてもイイよ」という安心感から、デザインはかなり制約を逃れさせてもらっている。
実際のデザインにおいては、変身サイボーグの呪縛から頭にあった「中身はメカ」というこだわりが、メカを前面に押し出した別形態が存在することから希薄になり、どちらかというとファンタジー風の要素でまとめようとしていた。それと同時に「東映には仮面ライダーがあるから、あとは ウルトラマンとガンダムがあれば怖いものはない」という、かなり子供じみていながら実現できればそれはそれでスゴイと真剣に思う理想のもと、その2つのイメージをなんとなく加えたりもしている。相変わらず着想から実現へ至る過程がストレートすぎて泣けてくるが、「ガンプラ世代のウルトラマン」みたいなところに落とし込めれば、って言うと聞こえはいいだろう。透明素材の内側には2種類の筋肉のモールドを入れて、それがウルトラマン風の模様に見えるようなイメージである。漠然としてるが、まぁそんなものだ。『宇宙船』なんかで語った「天使の衣を纏った鬼」というイメージは、このへんに基因している。
実はこの絵以前にもう1つ別案があって、それは分かりやすく例えると『まりんとメラン』のメランみたいな、いわゆる逆三角形アタマのものだった。このデザインは「仮面ライダーから受け継がれる伝統として、ヒーローの頭は丸くなければダメだ」という『貴方トクする私トクする』の人の意見により簡単に一蹴されてしまったのだが、その際の「三角形の両端を顔幅の線で分断した断面を羽に見立てる」シルエットは、最終的なシャンゼのデザインにもかろうじて残ってるなぁ。
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