マンガの生理学

最近、マンガを読むのが妙にツラく感じるようになった。「本」全般というわけではない。実際、新書とか文庫本は普通に読めるし、マンガに比べるとずっと楽に感じる。まぁ言うほどそんなに読んでるわけじゃありませんが。
とにかくマンガがキツい。もう週刊誌サイズのものを手に取る気力も損なわれるほどキツい。月刊誌なんて言わずもがなだ。たぶん90年代のアフタヌーンとかは拷問に近いだろう。

この感覚の原因は、「本」そのものの「重さ」のせいなのだろうと思っていた。
質量のあるものを長時間支え続けるわけだから、それには相応の体力が必要だ。体力の衰えがそのまま反映されているのなら、理解しやすい。

ただ、原因はそれだけではなかった。
なぜなら、コロコロコミックは普通に読めるからだ。判型は確かに小さいが、それでも普通の週刊誌レベルの重量はある。なのに気軽に読めるし、ページの端っこにある細かい情報までストンと入って来る。

そこでようやく、マンガの内容そのものが原因なのだという結論に至った。
自由なコマ割とアトランダムに配置された吹き出し。それをまたぐほど長いセリフ。理解するのに時間のかかる描画。画面と一体化して捉え辛い擬音。
それはマンガというものが熟成してきた進化の上に勝ち得た表現なのだが、進化し過ぎているのか単に身体が付いて行けてないだけなのか(たぶん後者)、オレにはもう相応しくないレベルになっているということなのだろう。
描写を目で追うためには、必然的に目の筋力を要する。つまり目の衰えこそが最大の原因ではないか…。

以前はくだらねぇとハナにもかけていなかったコロコロとかのマンガが、この歳になってようやく胸に染みるようになった。
描写は「質素で適格」、それに尽きる。
そしてそれが、本来はマンガビギナーたる幼児に向けて編集レベルで配慮されているとなれば、まさに目からウロコである。本当に頭が下がる。今まですみません。
そう考えると、そろそろシルバーエイジ向けのコロコロみたいなマンガ本が生まれても良さそうな気がするのだが、どうだろう。
なんか前回のマジンガーと同じような話になっちゃってますが。

じじくさっ。