慶良間チージ

ふと思い立って、「シュガーローフの戦い」として有名な、昭和20年の沖縄戦の戦場跡に行って来た。というか、そこはよく行く那覇のショッピングセンターのすぐ近くで、知らずに何度も通り過ぎていたところだった。
気が付かないのも無理はなく、そこは別に観光名所になっているわけではないし、敷地のほとんどは近年敷設された巨大な水道のタンクが占めていて、戦場跡だったことを示す石碑が言い訳程度にひとつあるだけだった。
それで初めて、悪名高い「シュガーローフヒル」が、こちら側では「慶良間(きらま)チージ」という場所なのだと知った。

ことさら沖縄にいると、自分が居るこの場所が、おびただしい死体の上に成り立っているという感覚に囚われることが多い。「戦争」が割と近しいところにあるせいなのか。まぁ歴史的に血の流れていない場所なんて世界中ほとんどないのだろうが。
周囲を削り取られた丘のすぐ隣では、30階建てのツインタワーマンションが建設中で、それを見ていたらまたその感覚に陥った。

帰り道で、岡本喜八の『激動の昭和史 沖縄決戦』をもう一度観てみようと思った。池辺良がいた海軍司令部のあった小禄(おろく)とか、親しくなった地名もあるから、今までとは違う見方ができるかもしれない。