どっちも神なんだが

「ロボコップは宇宙刑事ギャバンのデザインを引用している」と、よく言われる。パクリとまでは言わないが、リスペクトしているという話。たぶん村上克司さんの本に書かれた逸話からなのだろうが、あくまでも個人的な見地では、これホントかなぁ?と思っている。いや、バーホーベンから手紙を貰ったというのは本当なんだろうが。正直、ロボコップがギャバンをリスペクトしているとは到底思えないのだ。

実際のところ、ロボコップとギャバンにはデザインの相似性がほとんどない。あるとすれば「銀色と黒の組み合わせ」であることと、「矩形のゴーグル(アイシールド)」を用いていることぐらいで、もちろんロボット刑事と宇宙刑事で全体的な雰囲気は一致しているものの、それを構築している要素はことごとく異なっている。どこを取っても、似ていない。まるで[敢えて]どこも似せないようにしているのではないかと思えるほど、徹底して似ていない。

「銀色と黒の組み合わせ」にしても、ロボコップの場合は装甲としての金属質感と可動性を優先させた非装甲部分を区分するリアルな表現なのに対して、ギャバンの銀色と黒はどちらも「鏡」の表現だ。だからギャバンにはオプチカルデザインの要素が多分に取り入れられていて、メカニックとしては非常に抽象的になっている。その意味で両者の目指すところは正反対なのだ。
またアイシールドはその周辺との関係性込みで確かによく似てはいるが、ロボコップの方は端を丸くトリミングすることで、どちらかと言えばスリットという印象を強くしている。まるでそれは「差別化」を図ったようでもある。

だからもしロボコップのデザインにギャバンからの引用があったとするなら、「なるべく似ないようにデザインされた」というのが正しいように思う。ロボコップの造形デザインを担当したロブ・ボッティンの名誉のために言えば、ギャバンを下敷きにするなら、もっとギャバンっぽくデザインできたはずだ。
ロブ・ボッティンの頭にあったのは終始一貫して「サイボーグ化されたジャッジ・ドレッド」であって、東洋のギンギラしたタイツヒーローを参考にする余地はなかった。むしろ反骨精神からか、それとは全く対照的なものを目指そうとした。だからこそ、動けないし通気性が悪くてピーター・ウェラーを何度も殺しかけたという、全身が硬質ウレタンのムクでできたマッチョなスーツを作り上げてしまったのではないか…と邪推したりもする。

ちなみに先述した逸話の余談でもあるが、制作会社のオライオンはロボコップに関して東映にも打診してきたと聞いている。時系列が定かでないのだが、とにかくその時点でロボコップのデザインは完了しており、スーツを撮影した写真もあったそうだ。つまりこれは「同じ刑事モノだし、一応聞いておくけど、これっておたくの宇宙刑事には似てないよね?」という確認作業だったのだと思う。
その後、何も問題になっていないということは、両者は「似ていない」という認識なのだ。

とまぁ長々と書きましたが、オレが言いたいのは、

ロボコップがパクってるのって、シャイダーじゃね?

ということなんです、はい。

<2012/10/2追記>

このエントリのヒット率がやたら高いので、ちょっと不安になってますが(苦笑)。まぁ裏を取ってるわけじゃないので、話半分にしていただけますと助かります。シャイダーのパクリだとか、本気で思ってませんから。ちゅーかそれ以前に空山基さんのセクシーロボットのパクリだろ、どう考えても。

話半分のネタとしては、ギャバンの企画とデザインは、そもそも東映がスパイダーマンの後継作品として準備していた『シルバーサーファー』のローカライズ実写版がベースになっているとも言われています。シルバーサーファーを着ぐるみスーツ的に再現するにはどうすればいいか…という回答がギャバンであったと考えると、なんかうまいことしっくり行くのかなと。