QONTO

このブログなんてカテゴリが「R2-D2か、それ以外」ぐらいしかなくて、オレという人間のいかほどがR2-D2で占められているかうかがい知れるところですが、じゃあR2-D2が一番好きなのね?と訊かれると実は自信を持ってYESと言い切れないところもあって、というのもことデザインに関しては他に意中のロボットがいるからなのです。それが『宇宙からのメッセージ〜銀河大戦』に登場するロボット・トントなのでした。

まぁ元になった映画版が『スター・ウォーズ』の後追いであり、必然的にトントもR2-D2の影響を多分に受けていることは明白なので、結局のところ根っこは一緒な気もしますが、劇中での立ち位置はともかくトントのデザインにはR2-D2の二番煎じ的な要素が一切ない上に、ドットマトリクスで多彩な表情を描き出すパネルを備えた球形の頭部や、人体とは異なる構成で腕と脚を配置した非人間型のプロポーションなど、唯一無二と言っていいオリジナリティがあるように思います。村上克司デザイン万歳。

これでもし『宇宙からのメッセージ』が世界で爆発的にヒットして続編が何十年も制作され、数え切れないほどのバリエーションでトントが商品化されていたらオレの狂い方も違っていたのかもしれませんが、現実にはポピーの超合金とミニソフビとポピニカのスペースソーサーに付属するミニ合金ぐらいしか商品化されませんでした。

ところが海を隔てたバンダイアメリカからトントのDX玩具と呼ぶに相応しい商品が発売されます。名称は[QONTO]となっていますが、米国でトントといえばローン・レンジャーなので、その被りを避けたのかもしれません。これは元々日本で「ドラコン」というラジコン商品のシリーズとして開発されていながらも発売が中止になったものがあり、そこからラジコン機能を取り除いて代わりに電動のミステリー走行ギミック(机の上から落ちないというアレ。ついでに動きながらポインポインとセルロイド板を弾く音が出る)を加えたものでした。大きさは30センチもあり、およそ実物の1/4スケールぐらいでしょうか。

ちなみに『銀河大戦』は欧州では『SAN KU KAI』のタイトルで放送され結構なヒットとなり日本同様の商品展開も行われましたが、米国では『銀河大戦』商品を映像媒体に頼らない「オリジナルのSF玩具」として売り出す方針だったようで、その片翼を担うQONTOは先述の「スペースソーサー付属のミニ合金」までもmini-QONTOとして単品売りで展開したりしています。いや、これは単独でも売れる!と信じた気持ちは分かるんですけどね、かわいいから。

向かって右がオリジナル。左がリペア品。

根強いファンがいるわけでもないのでビンテージ玩具といってもそれほど価格が高騰してなくて割と簡単に手に入ります。たいていの個体は経年で内部のモーターが死んでいて、最初に手に入れたのも不動で欠品ありまくりのジャンク品だったんですが、後で状態の良いのが手に入ったことからリペアついでに劇中仕様に塗装することにしました。欠けていた頭頂部のアンテナや本来ならラジコン用のアンテナが付くはずだった左耳部のアンテナ等は3Dプリンタで出力しています。あとシール処理されている腰の電卓みたいなパーツも。いつものように頭部のインジケーターランプはアクリルストーンにしてみましたが、さすがにこれはちょっとクドかったか。

いま画像見て気付きましたけど、腕の裏側ちゃんと塗れてませんね、恥ずかしい。さてこのあたりで隠してあったものが露わになってますが、「どうせ動かないのであれば据え置き型として内部にマイコンを仕込んで、頭部のドットマトリクスに時計と劇中の表情パターンを表示できたらいいなー!」と思いついてしまったんですね。そこで胸がミサイル風に飛び出るギミックはオミットして操作ボタンに変更し、発射スイッチのあった背面パネルは劇中準拠の3Dプリンタ成形品に。また欠品だった脚部の電池ボックスの蓋もUSBコネクタや電源スイッチを盛り込んだものを新造しています。見えませんが底面もフラットなものに替えました。

⋯⋯とまぁ簡単に書きましたが、電子工作なんてやったことがないので中の回路だけはよそで作ってもらっています。できんものは、できん。完成を急ぐがあまり内部の基盤の据え付けに瞬間接着剤を用いたらスモーククリアのパネルが曇ってしまい肝心の表示が見えなくなり、なんとかリカバリーしようとクリアを吹きまくったら液ダレしたりパーツを床に落としたり⋯⋯という大失態に加え、そもそもこのスモークが深いエンジ色でせっかくの白色LEDがまったく意味をなしていないという二重三重の失敗のせいで完成度がエラく低いものになってしまいましたが、手がかかった分それなりに愛着もわくわけです。中学生の頃にこんなの欲しかったですよ、キットでもいいから。

せっかくなので思い切って動画も。左ボタンを押すごとにパターンが切り替わる単純な設定です。夜中に息を殺してこれを撮ってるオレの姿はちょっと見せられたものじゃないです。
最後に右ボタンを押して時計表示になりますが、これはプログラムが全然作れてなくてただのダミーの静止画です。なんかこのへん全部任されてくださる方いらっしゃいませんかねぇ⋯⋯。そしたらまたジャンク用意して作り直したい気マンマンなんですけど。

蛇足ついでに長年オレと共に過ごしてきた超合金トントと一緒に。もう白プラ部分がまっ黄っ黄だったり腰関節がプラプラでまともに立てないような状態ですが、思い入れがありすぎてなかなか手を出せずにいます。まぁ、これはこれで。