バトン

以前書いたことがあるが、世界には3人の「透明」BAKUGANコレクターがいる。1人はアメリカ人、1人はドイツ人、そしてもう1人はオレだ。もちろん「オレの知る限り」ではあるのだが、これまでの経験から言って、そんな奇特な趣味を持つ人間はたぶん本当に世界に3人しかいない。「透明じゃないBAKUGANはクソ」なんて言い切るのは。

そのうちの1人、アメリカ人の彼から久しぶりにメールが来た。[健康上の理由]から、コレクションを止めるという。ついては今まで集めてきたものを引き取ってもらえないか、という内容だった。

ちょっと悩んだ。なにしろ(たぶん)世界一のコレクションだ。まぁ安価な玩具だから、世間的に見ればそんなに大したものではないのだが、それでも時間と労力はかなりかかっている、はずだ。
オレも確かに集めてはいるけれど、たまにイーベイやヤフオクを覗くぐらいしか手間をかけていないから、5年も続けてる割にはまだ欠けがあるし、おまけに全部ルーズにしてダイソーで買ったセクションケースにぶち込んでいる。コレクションと呼ぶにはおこがましい内容だ。

よくよく考えて、自分にはコレクションを受け継ぐ資格はないから、もう1人のドイツ人に相談して欲しいと答えた。それ以外の不要なものがあったら、そっちは引き取らせてもらうから着払いで送ってくれと。
それで精一杯だった。あまりにも重かったのだ。

オレがこの世を去った後、残されたものはただのゴミになる。「一緒に棺桶に入れて焼いて欲しいもの」をリストアップする目的で、更新のたびにトップページに飾っていた『ハカトイ』も、気付けば80回を重ねていた。当然もう棺桶に入る量じゃない。
イヤな話、ゴミにしてはいけない、玩具史的に貴重なものもある。それ以上に、ゴミにはしたくない思い入れの深いものもかなりある。そういうものは、そろそろ真剣に行き先を決めておく必要もあるのかな、と思う。もう、そういう年齢だ。

つい先程、件の彼からの荷物が届いた。もう笑っちゃうぐらい巨大な箱の中に、丁寧に梱包された「透明でない」ミント状態のBAKUGANが山のように入っていて、しかも見ると、一つ一つに購入日や場所をメモしたポストイットが貼られていた。こういうのはクソじゃなかったのかよ。やっぱり重いぜ、色んな意味で。